こころを内観して、記憶の改ざんを正していく。

・最近お通じの調子がよくないな、食物繊維とろうっと。

・この椅子ガタガタするぞ、ネジを締め直さなきゃな。

・エアコンの効きが悪いね、フィルター詰まってんじゃない?


などなど、元の状態から悪い状態に変化する時には、何らかの症状が現れます。


症状が現れるからこそ僕らはそれに対して処置を施すことができる。


同じように、自分の心について考えるとき、こんなにはっきりとした症状となって現れることは、実は少ない。


イライラするからストレスを減らすために温泉いこう!!とか、辛くてお酒ばっかり飲んじゃうから、来週の休みはスポーツして発散しよう。なんてことくらいしか浮かばない。


原因が症状となって現れるパターンが、心の場合極端に少ないのだ。というか気づきにくい。


ならばどうやって判断するの?言葉にならないから疑問として浮かばないんだよー。なんて言われそうだがその通りだ。


心の傾きは症状として現れにくいし、言葉としても浮かびにくいのだ。


なので心をメンテナンスするには、定期的に、自分から見つけに行かないとダメなのだ。

 


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人間は過去の記憶を改ざんして、自分の都合のいいように編集してしまう。


実際には起こってない、勝手に編集した記憶が積み重なると、大体の人が苦しくなってくる。


本来怒るべきでない時に怒ってしまったり、普段なら言わない一言がつい口をついてでたり、こんなの自分じゃないよー、という症状が飛び出てくるのだ。


それが無意識に起こるからまた厄介。自分で気づけない。重い症状になって初めて外に飛び出してくるからびっくりする。


だからガン細胞のように増殖する前に、取り除くことが必要なのだ。


俗に『内観』と呼ばれるが、自分の心の中を覗き込むということです。


心を覗いて、分析して、正しい記憶に修正し、記憶し直す作業。心の整理整頓。


じゃあどうやってやるのさ?いきなり覗き込めってったて無理だよ。


確かにそう。やり慣れてないと最初は戸惑うかもしれません。


僕が提案したいのは、『怒り』や『悲しみ』を覚えた後にやること。


両方とも強い感情でわかりやすい。そして間違った記憶に結びつきやすいというのが理由です。

 


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まずは『怒り』

 

例えば会社のグループミーティングで上司が言った一言に腹が立って一向に収まらない時。実は上司は他の人に向けて言った言葉だったにも関わらず、それが自分だけに向けられた言葉として認識したあなたが、勝手に怒りを増殖させただけ、という場合。

 


なぜ自分はあんなに怒ったのだ?

いつまで経っても成長しないと言われたからだ。

あれ?先月も同じこと言われたけど、今日ほど怒らなかったな。じゃあなんでだ?

思い出した!!先週のデートの時に、彼女から似た台詞を言われたからだ。

自分がいちばん言われたくない『成長しない』というセリフを、短期間に2回言われたと早とちりしたのだ。

現に部長は、俺ではなくて、あいつに向けて言っていたのかも知れない。先週喫煙所で雑談してた時、そう言ってたじゃないか!何で俺忘れてたんだ?

そうか、彼女にだけは言われたくなかったんだ。だから傷ついていたんだ。

傷ついた自分を認めたくなくて押し殺していたんだ。

だから自分に向けられていない言葉を先取りして、『怒り』という表現で感情をむき出しにして誤魔化そうとしたのか!

そうか、ならば彼女に対して、実はあの時傷ついたと伝えてみようか?

実は彼女もまたその言葉通りの意味で言ったんじゃないかもしれないぞ。

OKわかった。まず上司に謝って、あいつのことなら逆に相談に乗ってあげよう。そして彼女には来週伝えてみよう。違う意味だった場合は、今度は簡単に傷つかないようにして、正確に意味を聞き出そう。

 

 

どうでしょう。内観しなければ、単なる怒りとして記憶されたままです。しかも勘違いもあるから、その後のコミュニケーションにも影響がある。


自分の感情を正しく記憶することはとても大切で、それには後から内観するしかないのです。

 


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では悲しみの場合。

 

ずっと仲のよかった恋人が、急に連絡の頻度が減った。会える頻度も減って、少しよそよそしくなってきた。あたし嫌われた?別の彼女ができた?振られちゃうの?そんなの無理、悲しい。

 

このまま悲しみに閉じこもっていたら、彼に対する猜疑心ばかりが膨らんでいく。猜疑心は怒りと仲がいいから、このまま大ゲンカになるケースも多い。

 

 

どうして彼は連絡くれなくなったの?

いままでこういうことはなかったな。じゃあ理由があるのかな?

直接聞いてみようか?いや前に聞いたら何かごちゃごちゃ言っててわからなかった。でも…仕事が忙しいとか言ってた…かな。

連絡だけでもくれればいいのに。そうすればこんなに疑うこともないんだけどな。

あれ?そっか、あたし心配なんだ、連絡取れないだけで。いままでこんなことなかったから初めての感情なんだ。心配っていうか不安なんだ。そうか。

じゃあそれを伝えようかしら?連絡ないと不安になるからって。うん、そうしよう。

TEL…♫

あ、もしもし、ちょっと伝えたいことがあって… あたし、連絡が少ないと不安になっちゃうの。だから連絡だけはいままでみたいに欲しいの、ダメ?

えっ…

バイトしてんの?そんなの知らない…何で教えてくれないの?何か秘密でもあるの?もうわけわかんない、何よもう!!

うそ?…あたしの…誕生日…プレゼント。

そうなの?あたしが欲しがってたから…

ああ…何であたしったらすぐ疑ってしまったんだろう。そうか、それは秘密にするよね…

ごめんなさい。そしてありがとう。サプライズにはならないけど…。うん、本当にゴメンね。大好き。疑ってごめんなさい。もう大丈夫だから。

 

 

特に『不安』の感情は変幻自在。怒りや嫉妬、猜疑心にあっけなく変わってしまう。


彼女は『悲しい』と思っていた。でもその根っこには『不安』だった。


『悲しい』は意味の範囲が広すぎる。様々な要素が重なりあっているから。


それに対して『不安』であれば、まだ範囲は狭い。不安要素が解決さえできれば、不安な気持ちは和らぐから。


こちらの例は、記憶の改ざんが大げさに作用した例ですね。


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上の例えは両方とも極端ですが、実は僕の体験談です。もう昔の話。恥ずかしいけど。


歳をとればとるほど、自分で蓄積してきた『考え方のクセ』が間違った記憶に加担してしまう。


内観することで、事実を知ると同時に、その自分のクセも修正できます。


それになれてくると、自分の負のブロックを外しやすくなる。


内観している時に閃くのです。あれ?これが原因じゃね?


マジかーーーっ!!


となります。


自分の心をメンテナンスすることは、直近の未来を豊かにすることです。


自分を真剣に気にかけて、自分から話を聞きに行く。


何だか言葉がおかしいけど、そういうことなのです。


心を内観して性格美人になって下さいね。