若さを過去に追いやって

かつて若い頃、40歳になったら人生も終わりだなと思っていた。


髪の毛は薄くなって、ファッションにも気を使わなくなり、たるんだ体で偉そうに威張り散らしているイメージがあった。


バンドをやっている時は「Don't trust anyone over 30‼︎」が合言葉だった。


結局、若くあることだけが、人生のメインストリームに立てる条件だと思っていた。


しかし年月が経ち、40代も半ばに差し掛かったいま思うのは、中年って楽しい!!ということだ。


昔の自分が見たら恥ずかしさのあまりどうにかなってしまうだろう。


しかしそれが事実だ。きちんと楽しめてる。


スイも甘いもわかるから?

経験値が上がるから?

余裕が生まれるから?


いや、そのどれとも違う。


若い頃に頑なに信じてた「メインストリームにいなきゃ意味がない」ということが、どうでもよくなったのだ。


つまり、「他人と自分とを比較して優劣をつける」ことに全く興味がなくなったと言いかえてもいい。


似合わないブランドで身を飾るキラキラ感よりも、長年使い続け、自分の分身みたいな革ジャンに袖を通していたほうが心地よい。

高層タワーマンションの展望とシャンパンの組み合わせよりも、缶ビール片手にホタルを見に散歩するほうがワクワクする。

ゴージャスで高価なシャンデリアや家具の代わりに、季節の花を丁寧に飾るほうが色彩の息吹きを感じられる。


そんなことを思うのだ。


人や世間の基準で何かを選ぶのではなく、自分の中に蓄積してきた好きなモノを優先したいということ。


地に足のついた、辺りを見渡せばどこにでもあるようなモノや出来事。


それをきちんと味わってみることに時間を使うようになった。


憧れてる歳ではもうない。


好きならそれを手にすればいい。


それがなかなか手が届かないものなら、代わりを探してサッサと味わってしまえばいい。


自分を基準にすると、駄目出しされてもめげないメンタリティーになってくる。


そして自分の中に正しさの基盤ができあがる。


この基盤の頼もしさったらないのだ。


野心がなくなったとか、枯れてきた、とは全く対局にある「自分の自由を許す自由」を高く掲げること。


それができれば中年はとても楽しい。